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委任

第六百四十三条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

受任者の義務

善管注意義務

第六百四十四条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

※無償であっても負います。

報告義務

第六百四十五条 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

受任者による受取物の引渡し

第六百四十六条 受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。

2 受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。

受任者の金銭の消費についての責任

第六百四十七条 受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

委任者の義務

受任者の報酬

第六百四十八条 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。

2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。

3 委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。

費用の前払義務

第六百四十九条 委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。

費用等の償還請求等

第六百五十条 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

2 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
※代弁済請求といいます。

3 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。

※無過失責任です。

委任の終了

任意解除権

第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

2 当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

※1項「いつでも」に対し、判例は受任者に利益があるときは、委任者にやむ得ない事情があるとき(最判S43.9.20)及び委任者にやむ得ない事由がないときでも解除権を放棄したと解されない事情ががある場合は解除できます。(最判S56.1.19)

委任の終了事由

第六百五十三条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。

一 委任者又は受任者の死亡

二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。

三 受任者が後見開始の審判を受けたこと

委任の終了後の処分

第六百五十四条 委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。

通知義務

第六百五十五条 委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。

 

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請負・2

瑕疵担保責任

第六百三十四条 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。

2 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。

※隠れた瑕疵ではあることは不要です。

2項の選択権は注文者にあり、瑕疵修補が可能な場合でも、損害賠償のみ請求できます。(最判S54.3.20)

※注文者の損害賠償請求権と請負人の報酬請求権とは同時履行の関係に立ちます。(相殺も可能です。)

解除

第六百三十五条 仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。

※催告は不要です。建物や土地の工作物に対しては解除できません。

請負人の担保責任に関する規定の不適用

第六百三十六条 前二条の規定は、仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたときは、適用しない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

存続期間

第六百三十七条 前三条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内にしなければならない。

2 仕事の目的物の引渡しを要しない場合には、前項の期間は、仕事が終了した時から起算する。

第六百三十八条 建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引渡しの後五年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については、十年とする。

2 工作物が前項の瑕疵によって滅失し、又は損傷したときは、注文者は、その滅失又は損傷の時から一年以内に、第六百三十四条の規定による権利を行使しなければならない。

第六百三十九条 第六百三十七条及び前条第一項の期間は、第百六十七条の規定による消滅時効の期間内に限り、契約で伸長することができる。

※167条の10年を超える期間を設定することはできません。

担保責任を負わない旨の特約

第六百四十条 請負人は、第六百三十四条又は第六百三十五条の規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。

注文者による契約の解除

第六百四十一条 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

※目的物が可分であるときは、未完成部分についてだけ解除できます。(大判S7.4.30)

注文者についての破産手続の開始による解除

第六百四十二条 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。この場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。

2 前項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する。

 

 

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請負

第六百三十二条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

※諾成・有償・総務契約です。

請負人の義務・責任

・仕事完成義務

・完成物引渡義務と所有権の帰属

判例

所有権の帰属に対し、材料の提供者を基準に出されています。

・注文者が材料の全部又は主要部分を提供した場合

特約がない限り、所有権は原始的に注文者に帰属されます。(大判S7.5.9)

・請負人が材料の全部又は主要部分を提供した場合

原則として請負人に帰属し、引渡によって注文者に移転します。(大判T3.12.26)

完成建物の所有権は注文者に帰属する特約があれば、建物の完成と同時に注文者に帰属します。(大判T5.12.13)

注文者が代金の全部又は大部分を支払っている場合はこの特約があると推認されます。(大判S19.7.20)

目的物の減失・損傷

完成が可能な場合

請負人はなお仕事完成義務を負います。

請負人に帰責事由がある場合

注文者は請負人に対して、別途履行遅滞を理由とした損害賠償を請求できます。(415条)

注文者に帰責事由がある場合

注文者は請負人の仕事を妨げない義務があるため、義務違反を理由に注文者に損害賠償請求ができます。

双方に帰責事由がない場合

注文者が仕事の完成に対して報酬を支払えば足り、請負人は増加分を自ら負担して、仕事を完成させる義務を負います。

完成が不可能な場合

請負人の仕事完成義務は履行不能となり消滅します。

請負人に帰責事由がある場合

注文者は請負人に対して、履行不能を原因とした損害賠償を請求し、(415条)契約を解除できます。(543条)

注文者に帰責事由がある場合

請負人の仕事完成義務は消滅しますが、報酬請求権は存続します。(536条2項)

※請負人が義務を逃れて得た利益(残りの工事で必要だった人件費や材料費)は注文者に返還します。(最判S52.2.22)

双方に帰責事由がない場合

仕事完成義務は消滅し、報酬請求権も消滅します。(536条1項)

報酬の支払時期

第六百三十三条 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。

 

 

 

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借地権の終了

期間の定めのない賃貸借の解約

第六百十七条 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。

一 土地の賃貸借 一年
二 建物の賃貸借 三箇月
三 動産及び貸席の賃貸借 一日
2 収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。
(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)

第六百十八条 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。

 

黙示の更新

第六百十九条 賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百十七条の規定により解約の申入れをすることができる。

2 従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、この限りでない。

債務不履行解除

判例

賃貸借関係の継続を著しく困難にするような不信行為のあった場合には、相手方は賃貸借を解除できる。この場合、541条の所定の催告は不要である。(最判S27.4.25)

解除の効果

第六百二十条 賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合において、当事者の一方に過失があったときは、その者に対する損害賠償の請求を妨げない。

混同

賃借人が目的物の所有権を得た場合、原則として賃借権は消滅しますが、賃借権に対抗要件を具備し、その後、抵当権が設定された場合は179条1項のただし書の準用により賃借権は消滅しません。(最判S46.10.14)

 

 

 

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転貸借

賃借権の譲渡及び転貸の制限

無断譲渡・無断転貸

第六百十二条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

※第三者に無断で転貸させた場合でも、賃借人の行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合においては、解除権は発生しません。(最判S28.9.25)

賃借人は賃貸借契約を解除しなくても、所有権に基づいて、無断転借人に対し土地の明け渡しを請求できます。(判例)

承諾譲渡・承諾転貸

第六百十三条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。

2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。

※賃貸人は転借人に対して賃料請求は可能ですが、賃借人が賃貸人に対して負っていた賃料の方が小さければその額を限度とします。

判例

賃貸人は賃借権の譲渡につき一旦与えた承諾を撤回できません。(最判S30.5.13)

所有者たる賃貸人の地位と転借人の地位が同一の人物に帰した場合は、当事者間で特別な合意がなければ転貸借関係は当然に消滅しません。(最判S35.6.23)

合意解除の効力

賃貸借契約を合意解除しても転借人に対抗できず、転借人は賃貸人の明け渡し請求に応じる必要はありません。(大判S9.3.7)

債務不履行解除の効力

判例

賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された場合は、転借人は不法占拠者になりますので、賃貸人の返還請求に応じなければなりません。(最判S36..12.21)

転貸借契約は、原則、賃貸人が転借人に対して目的物の返還請求をしたときに、転貸人の転借人に対しての債務不履行により終了します。(最判H9.2.25)

債務不履行により解除の場合、賃貸人は賃借人に対して賃料の支払を催告すれば足り、転借人に対してその支払の機会を与える必要はありません。(最判S37.3.29・最判H6.7.18)

 

 

 

 

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賃貸借

賃貸借

第六百一条  賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

※諾成・有償・双務契約です。賃貸借契約には、当事者間の信頼関係が重視されます。

使用収益させるのは賃貸人の積極的な義務であり、第三者が賃借権を妨害するときはこれを排除しなければなりません。

短期賃貸借

第六百二条  処分につき行為能力の制限を受けた者又は処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。

 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 十年
 前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 五年
 建物の賃貸借 三年
 動産の賃貸借 六箇月

短期賃貸借の更新

第六百三条  前条に定める期間は、更新することができる。ただし、その期間満了前、土地については一年以内、建物については三箇月以内、動産については一箇月以内に、その更新をしなければならない。

賃貸借の存続期間

第六百四条  賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、二十年とする。

 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から二十年を超えることができない。

敷金

賃貸借契約終了の際、未払い賃料債務や建物の汚損による損害賠償債務などに充当されます。(汚損は経年変化、通常損耗はあたりません。(最判H17.12.16))

敷金返還に対して、建物の明渡しとの同時履行や留置権は認められません。(判例)

不動産賃貸借の対抗力

第六百五条  不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。

※その他に、借地上に登記された建物を所有する場合(借地借家法10条1項)建物の引き渡しがあった場合(借地借家法31条1項)があります。

修繕義務

第六百六条  賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。

 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

判例

賃貸人が修繕義務を履行しないため、目的物が使用収益に適する状態に回復しない間は、賃料の支払を拒絶できます。

特約により一定に範囲で修繕義務を賃借人に負担させることもできます。

使用収益を妨げられた場合、その割合に応じた賃料の支払を拒絶できます。

賃借人の意思に反する保存行為

第六百七条  賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

賃借人による費用の償還請求

第六百八条  賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。

 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

※行使期間は目的物を返還したときから1年以内です。

減収による賃料の減額請求

第六百九条  収益を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる。ただし、宅地の賃貸借については、この限りでない。

減収による解除

第六百十条  前条の場合において、同条の賃借人は、不可抗力によって引き続き二年以上賃料より少ない収益を得たときは、契約の解除をすることができる。

※宅地の賃貸借は除きます。

賃借物の一部滅失による賃料の減額請求

第六百十一条  賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。

 前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

 

 

 

 

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消費賃借

消費賃借

第五百八十七条  消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

※要物・片務契約です。原則、無償契約ですが利息付であれば有償契約になります。

準消費賃借

第五百八十八条  消費貸借によらないで金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。

※旧債務についての同時履行の抗弁権は、準消費貸借があっても失われません(最判S62.2.13)

消費貸借の予約と破産手続の開始

第五百八十九条  消費貸借の予約は、その後に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う。

貸主の担保責任

第五百九十条  利息付きの消費貸借において、物に隠れた瑕疵があったときは、貸主は、瑕疵がない物をもってこれに代えなければならない。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。

※貸主の無過失責任になります。

 無利息の消費貸借においては、借主は、瑕疵がある物の価額を返還することができる。この場合において、貸主がその瑕疵を知りながら借主に告げなかったときは、前項の規定を準用する。

返還の時期

第五百九十一条  当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。

 借主は、いつでも返還をすることができる。

価額の償還

第五百九十二条  借主が貸主から受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることができなくなったときは、その時における物の価額を償還しなければならない。ただし、第四百二条第二項に規定する場合は、この限りでない。

使用賃借

第五百九十三条  使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

※要物・無償・片務契約です。

借主による使用及び収益

第五百九十四条  借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。

 借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。

 借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる。

※無催告で解除できます。

借用物の費用の負担

第五百九十五条  借主は、借用物の通常の必要費を負担する。

 第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。

※借主は善管注意義務を負います。特別の必要費や有益費を借主が負担した場合は、貸主に償還請求できます。

貸主の担保責任

第五百九十六条  第五百五十一条の規定は、使用貸借について準用する。

第五百五十一条  贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。

 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。)

目的物返還義務

第五百九十七条  借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。

 当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる。

 当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。

第五百九十八条  借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。

※借主の第三者に対する関係は、使用賃借には対抗力がないため、対抗できません。

借主の死亡による使用貸借の終了

第五百九十九条  使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。

※相続されません。消費賃借や賃借権は借主の死亡により終了しません。

損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限

第六百条  契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。

 

 

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売買・3

瑕疵担保責任

第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

※瑕疵担保責任と債務不履行責任との関係で法定責任説と契約責任説があります。

目的物

法定責任説では、不特定物には適用されません。

行使期間

時効ではなく除斥期間として1年間となります。

損害賠償の範囲

法定責任説

瑕疵がないものと信じたことによりこうむった損害になり、信頼利益の賠償となります。

※特定物が壊れていた場合、買主は修理費用に掛かった代金を請求できますが、売主に修理を行うことを請求できません。

契約責任説

特定物の修理代の他、瑕疵のない特定物を給付されていた場合買主が得たであろう利益や修理期間中に特定物を使用できずに失った利益も請求できます。

要件

「瑕疵」とは目的物が通常有すべき品質や性能を有していないことです。

「隠れた」とは買主が取引上一般に要求される程度の注意をしても、瑕疵を発見できないことです。

※買主の悪意又は有過失は、売主がその主張・立証責任を負います。

判例

建物と敷地の賃借権が売買の目的物の場合は、敷地に欠陥があっても、目的物の瑕疵にはなりません。敷地の賃借権は賃借人と賃貸人との債権である為、賃貸人に修繕を請求するべきものだからです。(最判H3.4.2)

 

 

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売買 2

売買の効力・担保責任

他人の権利の売買における売主の義務

第五百六十条  他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。

他人の権利の売買における売主の担保責任

第五百六十一条  前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。

 前項の場合において、買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、契約の解除をすることができる。

※権利の移転不能が買主の責めに帰すべき事由に基づく場合、売主は担保責任は負いません。(大判S17.10.2)

「契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたとき」であっても、債務不履行が売主の責に帰すべき事由によるものであれば、債務不履行の一般の規定(415条)に基づく損害賠償請求は認められます。(最判S41.9.8)

権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任

第五百六十三条  売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。

 前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。

 代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。

※2項の解除は、善意かつ移転できる部分のみでは買わなかったであろうと場合に限られます。

第五百六十四条  前条の規定による権利は、買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ一年以内に行使しなければならない。

数量の不足又は物の一部滅失の場合

第五百六十五条  前二条の規定は、数量を指示して売買をした物に不足がある場合又は物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその不足又は滅失を知らなかったときについて準用する。

※「数量を指示して」とは、一定の面積、容積、重量、員数または尺度があることを売主が契約時に表示し、かつ、この数量を基礎として代金額が定められた売買であることです。(最判S43.8.20)

地上権等がある場合等

第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。

 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

※代金減額は認められません。

抵当権等がある場合

第五百六十七条  売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができる。

 買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。

 前二項の場合において、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。

強制競売における担保責任

第五百六十八条  強制競売における買受人は、第五百六十一条から前条までの規定により、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請求することができる。

 前項の場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部又は一部の返還を請求することができる。

 前二項の場合において、債務者が物若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に対し、損害賠償の請求をすることができる。

債権の売主の担保責任

第五百六十九条  債権の売主が債務者の資力を担保したときは、契約の時における資力を担保したものと推定する。

 弁済期に至らない債権の売主が債務者の将来の資力を担保したときは、弁済期における資力を担保したものと推定する。

 

 

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売買

第五百五十五条  売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

※諾成・有償・双務契約になります。対価は金銭に限られます。(金銭以外のものを対価とする場合は交換となります。)売買契約後は、売主には財産権移転義務が生じ、買主には代金を支払う義務が生じます。

売買の一方の予約

第五百五十六条  売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。

 前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。

※本契約を締結させる為、予約完結権が発生します。予約完結権は譲渡も出来(対抗要件は債権譲渡に準じ、相手方に対する通知は不要です。(大判T13.2.29))、10年の消滅時効にかかります。(大判T10.3.5)

手付

第五百五十七条  買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。

 第五百四十五条第三項の規定は、前項の場合には、適用しない。

手付の種類

・証約手付

契約を成立したことを示す手付。全ての手付にこの性質があります。

・違約手付

契約上の債務を履行しない場合に没収される手付をいいます。細かく分けると2種類あり、損害賠償額の予定としての手付と違約罰としての手付があります。

・解約手付

条文に該当する手付です。民法は、特約がない限り解約手付と推定します。

解除権の行使

着手時期は、履行期の前でも構いません。(判例)

「当事者の一方」とは、相手方のみを指し、履行に着手した側からの解除は認められます。(最大判S40.11.24)

「履行に着手する」とは履行の準備は含まれず、履行行為自体に着手することです。判例では、給付の実行に着手すること、客観的に外部から認識できるような形で履行の一部をなし、又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指します。(最大判S40.11.24)

解除の方法

手付を交付したものが解除するには意思表示だけで足りますが、手付を受領した方は手付の倍額を現実に提供する(口頭では足りません)必要があります。(最判H6.3.22)

売買契約に関する費用

第五百五十八条  売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する。

 

 

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