民法を学ぼう

債権譲渡・3

債務者の抗弁

第四百六十八条

債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。この場合において、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。

※譲受人は善意である必要があります。

保証人は復活しません。(大判S15.10.9)

抵当権は利害関係のある第三者がある場合は復活しません。(債務者所有のものである場合は復活します。)

 譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。

・譲渡債権が不正立・無効

・取消・解除により譲渡債権が消滅

・弁済等によって譲渡債権の全部又は一部が消滅

・同時履行の抗弁権をもって対抗できる

・譲渡人に対し有する反対債権のもって対抗(相殺)

 

債権譲渡登記

特例法に基づいて譲渡人が法人の場合のみできます。

対抗要件

動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律

第四条  法人が債権(指名債権であって金銭の支払を目的とするものに限る。以下同じ。)を譲渡した場合において、当該債権の譲渡につき債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときは、当該債権の債務者以外の第三者については、民法第四百六十七条 の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなす。この場合においては、当該登記の日付をもって確定日付とする。

 前項に規定する登記(以下「債権譲渡登記」という。)がされた場合において、当該債権の譲渡及びその譲渡につき債権譲渡登記がされたことについて、譲渡人若しくは譲受人が当該債権の債務者に第十一条第二項に規定する登記事項証明書を交付して通知をし、又は当該債務者が承諾をしたときは、当該債務者についても、前項と同様とする。

 前項の場合においては、民法第四百六十八条第二項 の規定は、前項に規定する通知がされたときに限り適用する。この場合においては、当該債権の債務者は、同項に規定する通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由を譲受人に対抗することができる。

 前三項の規定は、当該債権の譲渡に係る第十条第一項第二号に掲げる事由に基づいてされた債権譲渡登記の抹消登記について準用する。この場合において、前項中「譲渡人」とあるのは「譲受人」と、「譲受人」とあるのは「譲渡人」と読み替えるものとする

※民法497条の対抗要件と動産・債権譲渡特例法の対抗要件が競合した場合、対抗要件を備えらえたときの先後で決まります。

 

 

 

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債権譲渡・2

指名債権譲渡の対抗要件

債務者への通知又は債務者の承諾です。

第四百六十七条

指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。

 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

債務者による対抗要件

対抗要件が成立するまでは譲渡人への弁済は有効であり、譲受人に対しては弁済を拒否できます。

通知

通知は必ず譲渡人からしなければならず、譲受人が代位を出来ません。(判例)

※譲受人は譲渡人に通知をするように請求はできます。

通知が譲渡後にされたときは、通知したときから対抗力が生じます。

承諾

譲渡人に譲受人いずれに対してもでき、譲渡前の承諾も有効です。(最判S28.5.29.)

債権の二重譲渡

・確定日付のある通知は、確定日付のない通知に優先します。

※確定日付のある通知が後に届いたとしてもです。(大連判T8.3.28)

ただし、すでに債務者が弁済した後(確定日付のない通知)では確定日付のある通知で譲渡されたとしても債権自体を取得できません。(大判S7.12.6)

・双方に確定日付のある通知

到着の先後になります。(先に到達した方が有効です。)(最判S49.3.7)

※片方が差し押さえ命令の場合も同様です。(最判S58.10.4)

・双方が確定日付のない通知

債務者はどちらの請求も拒め、どちらに弁済しても効力を発揮します。(大判T8.8.25)

・双方が確定日付のある通知が同時に到達

債務者はどちらからの請求も拒めませんが、片方に弁済すれば債務を逃れます。

※到達の先後が不透明な場合は同時到達として扱います。(最判H5.3.30)

 

 

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債権譲渡

第四百六十六条

債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

※債権譲渡は、譲渡人と譲受人の合意のみで効力を生じます。債権譲渡が行われると、債権は同一性を維持したまま譲受人に移転します。

将来発生する債権であっても、債権発生の可能性を要件とせず、期間の始期と終期を明確にすることによって債権が特定されてる場合は譲渡できます。(最判H11.1.29)

譲渡禁止特約違反の効果

基本的には無効ですが(通説・判例)ただし、善意の第三者には対抗できません。

また、悪意の譲受人からさらに債権を善意の譲受人に譲渡した場合は有効になります。(大判S13.5.14)

譲受人は善意であればいいのですが、重過失がある場合は債権を取得できません。(最判S48.7.19)

譲渡禁止特約納付債権の差押

差押は可能であり、善意・悪意を問いません。(最判S45・4.10)

譲渡禁止特約納付債権の譲渡に対する債務者の承諾

譲受人が悪意であっても債務者が承諾したときには有効になります。この譲渡は譲渡のときにさかのぼって有効になります。(最判S52.3.17)

 

 

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多数当事者の債権・債務関係・5

根保証

賃金等根保証契約

第四百六十五条の二

一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であってその債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という。)が含まれるもの(保証人が法人であるものを除く。以下「貸金等根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。

 貸金等根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。

 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、貸金等根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。

元本確定期日の定め

第四百六十五条の三  貸金等根保証契約において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定めがある場合において、その元本確定期日がその貸金等根保証契約の締結の日から五年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。

 貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には、その元本確定期日は、その貸金等根保証契約の締結の日から三年を経過する日とする。

 貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした日から五年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じない。ただし、元本確定期日の前二箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から五年以内の日となるときは、この限りでない。

 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、貸金等根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その貸金等根保証契約の締結の日から三年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を除く。)について準用する。

元本確定事由

第四百六十五条の四  次に掲げる場合には、貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。

 債権者が、主たる債務者又は保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。ただし、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。

 主たる債務者又は保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。

 主たる債務者又は保証人が死亡したとき。

保証人が法人である貸金等債務の根保証契約の求償権

第四百六十五条の五

保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、第四百六十五条の二第一項に規定する極度額の定めがないとき、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定め若しくはその変更が第四百六十五条の三第一項若しくは第三項の規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権についての保証契約(保証人が法人であるものを除く。)は、その効力を生じない。

 

 

 

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多数当事者の債権・債務関係・4

保証人の求償権

委託を受けた保証人

第四百五十九条

保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。

 第四百四十二条第二項の規定は、前項の場合について準用する。

事前求償権

委託を受けた保証人の事前求償権

第四百六十条

保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。

 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。

 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。

 債務の弁済期が不確定で、かつ、その最長期をも確定することができない場合において、保証契約の後十年を経過したとき。

事前求償権を行使された債務者の保護

第四百六十一条

前二条の規定により主たる債務者が保証人に対して償還をする場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、主たる債務者は、保証人に担保を供させ、又は保証人に対して自己に免責を得させることを請求することができる。

 前項に規定する場合において、主たる債務者は、供託をし、担保を供し、又は保証人に免責を得させて、その償還の義務を免れることができる。

※物上保証人に事前求償権は認められません。(最判H2.12.18)

委託を受けない保証人

第四百六十二条

主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が弁済をし、その他自己の財産をもって主たる債務者にその債務を免れさせたときは、主たる債務者は、その当時利益を受けた限度において償還をしなければならない。

 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

※利息や損害賠償は請求できません。

保証人の通知義務

第四百六十三条

第四百四十三条の規定は、保証人について準用する。

 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、善意で弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、第四百四十三条の規定は、主たる債務者についても準用する。

※保証人から債務者への通知、債務者から委託を受けた保証人への通知が必要です。

連帯債務・不可分債務の求償権

第四百六十四条

連帯債務者又は不可分債務者の一人のために保証をした者は、他の債務者に対し、その負担部分のみについて求償権を有する。

共同保証

共同保証とは同一の主たる債務について数人の保証人がある場合です。以下のパターンがあります。

・普通の保証人が数人いる場合。

・連帯保証人が数人いる場合。

・複数の普通保証人間に連帯関係がある場合。(保障連帯)

※保障連帯とは普通の保証人から分別の利益を放棄したものです。

第四百六十五条

第四百四十二条から第四百四十四条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。

 第四百六十二条の規定は、前項に規定する場合を除き、互いに連帯しない保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。

 

 

 

 

 

 

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多数当事者の債権・債務関係・3

保証債務

保証人

四百四十六条

保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。

 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

※主たる債務者の意思に反するときでも保証契約は有効に成立します。

第四百四十七条

保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。

 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。

※保証人は契約解除による原状回復義務にも責任を負います。(最大判S40.6.30)

保証人の負担が主たる債務より重い場合

第四百四十八条

保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に減縮する。

取り消すことができる債務の保証

第四百四十九条

行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場合又はその債務の取消しの場合においてこれと同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定する。

※契約を取り消しても保証人は支払い義務を負います。

保証人の要件

第四百五十条

債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。

 行為能力者であること。
 弁済をする資力を有すること。

 保証人が前項第二号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。

 前二項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。

第四百五十一条

債務者は、前条第一項各号に掲げる要件を具備する保証人を立てることができないときは、他の担保を供してこれに代えることができる。

催告の抗弁権

第四百五十二条

債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

検索の抗弁権

第四百五十三条

債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

※債務者に一度執行すればその実効性がなかったとして、後日債務者の資産が回復しても改めて執行する必要はなく、保証人にたいして執行できます。

第四百五十四条

保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。

第四百五十五条

第四百五十二条又は第四百五十三条の規定により保証人の請求又は証明があったにもかかわらず、債権者が催告又は執行をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは、保証人は、債権者が直ちに催告又は執行をすれば弁済を得ることができた限度において、その義務を免れる。

主たる債務者の有する抗弁の援用

第四百五十七条

主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる。

 保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる。

※主たる債務者が時効の援用を放棄しても保証人には及びません。

主たる債務者・保証人について生じた事由

主たる債務者に生じた事由は原則としてすべて保証人に効力が及びます。

保証人について生じた事由は、主たる債務を消滅させる以外主たる債務者に影響を及ぼしません。

※保証人が時効利益の放棄、保証人に対する債権譲渡通知等は債務者に対して効力をおよびませんが、保証人が主たる債務を単独で相続しそのことをしりながら弁済をした場合には、特段の事情がない限り主たる債務の承認がされたこととなり、主たる債務の消滅時効は中断します。(最判H25.9.13)

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多数当事者の債権・債務関係・2

連帯債務

意義・性質

第四百三十二条

数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。

第四百三十三条

連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない。

※連帯債務はそれぞれ独立した債務になります。(原則相対効)

連帯債務者1人について生じた事由の効力

以下にあげるのは他の連帯債務者に影響を及ぼします。(絶体効)

弁済・代物弁済・供託・受領地帯

民法に規定はありませんが当然に絶体効を有します。

履行の請求

第四百三十四条

連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる。

※時効の中断や履行遅滞も絶体効を有し、請求を受けなかった債務者も遅延損害金を支払う義務を負います。

更改

第四百三十五条

連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。

※更改し、債務を請け負った債務者は他の連帯債務者に対して求償権を得ます。他の連帯債務者の意思に反しても出来ます。(判例)

相殺

第四百三十六条

連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。

 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者が相殺を援用することができる。

免除

第四百三十七条

連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる。

※連帯債務者の1人に対して、一部の免除を行った場合は、全額の免除を受けた場合に比例した割合で他の債務者も債務を免れます。(判例)

混同

第四百三十八条

連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。

※他の債務者に対しては求償権を取得し、履行の請求ができます。

時効の完成

第四百三十九条

連帯債務者の一人のために時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者も、その義務を免れる。

※負担部分を有する者に時効が完成すれば、負担部分がない者は債務を逃れます。(大判T12.2.14)

 

内部関係

求償権の成立

第四百四十二条

連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。

 前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。

※負担部分とは負担し合う割合です。

通知を怠った連帯債務者の求償の制限

第四百四十三条

連帯債務者の一人が債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、過失のある連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済をし、その他有償の行為をもって免責を得たときは、その免責を得た連帯債務者は、自己の弁済その他免責のためにした行為を有効であったものとみなすことができる。

※第一の弁済者も通知を怠り、第二の弁済者も通知を怠った場合は、原則に戻り第一の弁済が有効になります。

無資力者への求償

第四百四十四条

連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する。ただし、求償者に過失があるときは、他の連帯債務者に対して分担を請求することができない。

連帯の免除

第四百四十五条

連帯債務者の一人が連帯の免除を得た場合において、他の連帯債務者の中に弁済をする資力のない者があるときは、債権者は、その資力のない者が弁済をすることができない部分のうち連帯の免除を得た者が負担すべき部分を負担する。

※連帯の免除とは債権者と債務者との間で債務の額を負担部分に該当する額に制限し、それ以上請求できないようにします。

 

 

 

 

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多数当事者の債権・債務関係

多数当事者の債権・債務

第四百二十七条

数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。

※当事者1人につて生じた事由は、その者についてのみ効力を生じます。

 

不可分債権・不可分債務

不可分債権

第四百二十八条

債権の目的がその性質上又は当事者の意思表示によって不可分である場合において、数人の債権者があるときは、各債権者はすべての債権者のために履行を請求し、債務者はすべての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。

第四百二十九条

不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全部の履行を請求することができる。この場合においては、その一人の不可分債権者がその権利を失わなければ分与される利益を債務者に償還しなければならない。

 前項に規定する場合のほか、不可分債権者の一人の行為又は一人について生じた事由は、他の不可分債権者に対してその効力を生じない。

※条文上の規定はないものの、全額を請求をして弁済を受けた債権者は、他の債権者に対して、その持分に応じて平等に分与しなければなりません。

不可分債務

第四百三十条

前条の規定及び次款(連帯債務)の規定(第四百三十四条から第四百四十条までの規定を除く。)は、数人が不可分債務を負担する場合について準用する。

※履行の請求等連帯債務の規定が準用されます。

不可分給付から可分給付への変更

第四百三十一条

不可分債権が可分債権となったときは、各債権者は自己が権利を有する部分についてのみ履行を請求することができ、不可分債務が可分債務となったときは、各債務者はその負担部分についてのみ履行の責任を負う。

 

 

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債権・4

詐害行為取消権

第四百二十四条

債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。

 前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。

 

債権者側の要件

被保全債権が(原則)金銭債権であること。(特定物債権でも行使可能ですが、特定物債権に発生する損害賠償債権保全のために認められ、特定物債権そのものの保全のためには認められません。)

詐害行為前に被担保債権が成立していなければなりません。

物的担保を有する債権

担保物の価格が債権額に不足する限度で行使できます。

物上保証人の場合は債権の全額に対して行使できます。

人的担保を有する債権

保証人や連帯保証人がついている債権に対しては全額に対して行使できます。(判例)

 

債務者側の要件

無資力であること。

財産権を目的とした法律行為であること。

債務者に詐害の意思があること。

 

行使方法

裁判上の行使です。

行使の相手方

受益者・転得者になります。

※善意の相手方には行使できません。

行使期間

第四百二十六条

第四百二十四条の規定による取消権は、債権者が取消しの原因を知った時から二年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

※「取消の原因を知った時」とは債権者が詐害の事実を知っただけでは足りず、債務者に詐害の意思があることを知ったときからです。

 

効果

第四百二十五条

前条の規定による取消しは、すべての債権者の利益のためにその効力を生ずる。

金銭は、直接自己に引き渡すように請求できます。(判例)

不動産の登記は直接自己に対する移転登記を請求することはできません。(最判S53.10.05)

※すべての債権者には取消の相手方である受益者は含まれません。

 

 

 

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債権・3

債権者代位権

第四百二十三条

債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。

 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。

※上記の成立要件は債務者が自らその権利を行使しないときにできます。

被保全債権は原則として金銭債権である必要があり、債務者が無資力であることが必要です。

対象となる権利

判例で認められたものは、(金銭債権以外)

・移転登記請求権

・抹消登記請求権

・妨害排除請求権

・債務の消滅時効の援用、などです。

・形成権(取消権・解除権・買戻権など)

・代位権

・第三者による錯誤無効の主張(表意者が錯誤無効を認めている場合)(最判S45.3.26.)

対象者とならないもの

・一身専属権(離婚請求権、認知請求権、夫婦間の契約取消消権、離婚による財産分与請求権、遺留分減殺請求権、慰謝料請求権など)

・権利行使を債務者の意思のみにゆだねるのが妥当なもの

・差押を許さない権利

行使方法

債権者が自己の名で行使し、裁判上、裁判外でも行使できます。

相手方の地位

すべての抗弁が主張できます。(相殺の抗弁・同時履行の抗弁権・権利の消滅の抗弁など)

範囲

債権の保全に必要な範囲までです。

請求内容

物の引渡を求める場合には、直接自己への引渡を請求できます。

債務者による処分の禁止

裁判上の代位について債権者が債権者代位権の行使の着手を債務者に伝えたときは、債務者による権利の処分が禁止されます。(非訟事件手続法88条3項)

※裁判外にも類推適用されます。

 

 

 

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