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離婚協議での約束を破られた



「好きな女性ができたから離婚してほしい。」



ある日突然、旦那さんから言われたSさん。
Sさんは、離婚をする気はなく、旦那さんとの話合いは平行線でした。
しかし、旦那さんの気持ちは変わらず、離婚したいとの一点張り。
約6か月ほど話合いが続き、Sさんもやむなく離婚に応じることにしたそうです。
その際に、旦那さんはSさんに対して、慰謝料を500万円支払うと約束しました。



約1か月後、両家の親への説明も終え、円満に離婚が成立したかと思えた時でした。
旦那さんが離婚届けに署名し、Sさんも署名しようとした時に、Sさんが旦那さんに質問をしました。



「慰謝料の500万円はいつ振り込んでくれるの?」



すると旦那さんは、
「ごめん、払えなくなった。」
と一言。



Sさんは、茫然とし、
「何を言ってるのか、わかってる?約束したでしょ?」
と問い詰めました。



すると旦那さんは、
「そもそも、夫婦間の契約は、婚姻中、いつでも取り消せるから意味なんてないよ。しっかりと民法に記載がある。そんなことも知らないのか?」
と約束を破ったことを悪びれることもなく、言ったそうです。



Sさんは、
「わかった。じゃあ、不倫してたんだから、その慰謝料はしっかりと請求させてもらうからね。」
と反論。



しかし、旦那さんは、
「不倫はしていない。好きな人ができたとは言ったが、その人とはまだ肉体関係はない。だから不倫じゃない。」
と。



Sさんは、負けじと
「探偵に依頼して証拠集めるから、覚悟してなさいよ。」
と言って、その場を離れたそうです。
そして、探偵事務所にやってきました。







旦那さんが言っているように、「相手の女性とはまだ肉体関係がない」と言う人は多くいますが、そのほとんどは嘘です。
ですが、過去の不貞の証拠を入手することは困難。
これから証拠収集をするにしても、離婚に応じている時点で、夫婦関係は破綻している状態と判断される可能性があり、証拠が無駄になってしまうかもしれない。
夫婦関係が破綻していることは、Sさんにも自覚があり、証拠集めは断念しました。



「何か手はないですか?」
とSさん。
もちろん手はあります。
といいますか、そもそも旦那さんの主張は通りません。



旦那さんが主張している法律は民法754条。



民法754条(夫婦間の契約の取消権)
夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。




確かに法律上、夫婦間の契約は取り消せます。
ただ、Sさんのケースでは夫婦関係が破綻している時の約束。
夫婦関係が破綻していれば、不貞の慰謝料が発生しないのと同じで、実際には婚姻関係にあっても夫婦では無いと解釈されるからです。
もちろん民法754条でも、同じことが言えます。
過去に裁判例もあります。

・高松高裁 昭和27年6月16日
「夫婦関係が事実上破綻し、離婚することを当事者双方が了解しているような場合には、正常な夫婦とはいえず、夫婦間の契約を取り消しても、その効果は生じない。」

・最高裁 昭和42年2月2日
「民法754条の婚姻中とは、形式上にも実質的にも婚姻が継続している場合をいうと解すべきであるから、実質的に婚姻が破綻している場合には、契約の取消しは許されない。」



よって、旦那さんの主張は権利濫用にあたり、慰謝料の500万円は支払われるべきです。
ただ旦那さんが、
「口約束だから意味はない。」
とか
「そんな約束はしていない。」
と言い出す可能性はあります。



まず、「口約束だから意味はない。」ですが、これは通りません。
口約束だって、法律的に有効な契約になります。
「そんな約束はしていない。」ですが、言った言わないの水掛論に発展する恐れがありますから、話合いをする場合、録音しておくことが大切です。
Sさんは、しっかりと録音していました。(素晴らしい!)



後日、Sさんから連絡があり、慰謝料の500万円は支払われたとご報告をいただきました。