Monthly Archives: 9月 2017

消費賃借

消費賃借

第五百八十七条  消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

※要物・片務契約です。原則、無償契約ですが利息付であれば有償契約になります。

準消費賃借

第五百八十八条  消費貸借によらないで金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。

※旧債務についての同時履行の抗弁権は、準消費貸借があっても失われません(最判S62.2.13)

消費貸借の予約と破産手続の開始

第五百八十九条  消費貸借の予約は、その後に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う。

貸主の担保責任

第五百九十条  利息付きの消費貸借において、物に隠れた瑕疵があったときは、貸主は、瑕疵がない物をもってこれに代えなければならない。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。

※貸主の無過失責任になります。

 無利息の消費貸借においては、借主は、瑕疵がある物の価額を返還することができる。この場合において、貸主がその瑕疵を知りながら借主に告げなかったときは、前項の規定を準用する。

返還の時期

第五百九十一条  当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。

 借主は、いつでも返還をすることができる。

価額の償還

第五百九十二条  借主が貸主から受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることができなくなったときは、その時における物の価額を償還しなければならない。ただし、第四百二条第二項に規定する場合は、この限りでない。

使用賃借

第五百九十三条  使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

※要物・無償・片務契約です。

借主による使用及び収益

第五百九十四条  借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。

 借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。

 借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる。

※無催告で解除できます。

借用物の費用の負担

第五百九十五条  借主は、借用物の通常の必要費を負担する。

 第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。

※借主は善管注意義務を負います。特別の必要費や有益費を借主が負担した場合は、貸主に償還請求できます。

貸主の担保責任

第五百九十六条  第五百五十一条の規定は、使用貸借について準用する。

第五百五十一条  贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。

 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。)

目的物返還義務

第五百九十七条  借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。

 当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる。

 当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。

第五百九十八条  借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。

※借主の第三者に対する関係は、使用賃借には対抗力がないため、対抗できません。

借主の死亡による使用貸借の終了

第五百九十九条  使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。

※相続されません。消費賃借や賃借権は借主の死亡により終了しません。

損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限

第六百条  契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。

 

 

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売買・3

瑕疵担保責任

第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

※瑕疵担保責任と債務不履行責任との関係で法定責任説と契約責任説があります。

目的物

法定責任説では、不特定物には適用されません。

行使期間

時効ではなく除斥期間として1年間となります。

損害賠償の範囲

法定責任説

瑕疵がないものと信じたことによりこうむった損害になり、信頼利益の賠償となります。

※特定物が壊れていた場合、買主は修理費用に掛かった代金を請求できますが、売主に修理を行うことを請求できません。

契約責任説

特定物の修理代の他、瑕疵のない特定物を給付されていた場合買主が得たであろう利益や修理期間中に特定物を使用できずに失った利益も請求できます。

要件

「瑕疵」とは目的物が通常有すべき品質や性能を有していないことです。

「隠れた」とは買主が取引上一般に要求される程度の注意をしても、瑕疵を発見できないことです。

※買主の悪意又は有過失は、売主がその主張・立証責任を負います。

判例

建物と敷地の賃借権が売買の目的物の場合は、敷地に欠陥があっても、目的物の瑕疵にはなりません。敷地の賃借権は賃借人と賃貸人との債権である為、賃貸人に修繕を請求するべきものだからです。(最判H3.4.2)

 

 

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売買 2

売買の効力・担保責任

他人の権利の売買における売主の義務

第五百六十条  他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。

他人の権利の売買における売主の担保責任

第五百六十一条  前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。

 前項の場合において、買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、契約の解除をすることができる。

※権利の移転不能が買主の責めに帰すべき事由に基づく場合、売主は担保責任は負いません。(大判S17.10.2)

「契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたとき」であっても、債務不履行が売主の責に帰すべき事由によるものであれば、債務不履行の一般の規定(415条)に基づく損害賠償請求は認められます。(最判S41.9.8)

権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任

第五百六十三条  売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。

 前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。

 代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。

※2項の解除は、善意かつ移転できる部分のみでは買わなかったであろうと場合に限られます。

第五百六十四条  前条の規定による権利は、買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ一年以内に行使しなければならない。

数量の不足又は物の一部滅失の場合

第五百六十五条  前二条の規定は、数量を指示して売買をした物に不足がある場合又は物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその不足又は滅失を知らなかったときについて準用する。

※「数量を指示して」とは、一定の面積、容積、重量、員数または尺度があることを売主が契約時に表示し、かつ、この数量を基礎として代金額が定められた売買であることです。(最判S43.8.20)

地上権等がある場合等

第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。

 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

※代金減額は認められません。

抵当権等がある場合

第五百六十七条  売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができる。

 買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。

 前二項の場合において、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。

強制競売における担保責任

第五百六十八条  強制競売における買受人は、第五百六十一条から前条までの規定により、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請求することができる。

 前項の場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部又は一部の返還を請求することができる。

 前二項の場合において、債務者が物若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に対し、損害賠償の請求をすることができる。

債権の売主の担保責任

第五百六十九条  債権の売主が債務者の資力を担保したときは、契約の時における資力を担保したものと推定する。

 弁済期に至らない債権の売主が債務者の将来の資力を担保したときは、弁済期における資力を担保したものと推定する。

 

 

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